第1章 デジタル証拠とは何か図表1 アナログ信号 ※実線部分図表2 デジタル信号量を、連続していない飛び飛びの数値(「離散量」といいます。)に置き換えて処理する方式をいいます。 例えばレコードは、レコードの溝に音楽などが波形の形で記録され、これをレコード針で読み取って増幅し、スピーカーに伝達して再生します。この場合、記録される情報は、音の波形という連続した量で記録され処理されますので、レコードはアナログです(図表1)。 これに対して、音楽CDでは、マイクに入力された波形の情報を、電子的処理により、2進法の数字に変換したデータ(以下「デジタルデータ」といいます。)として記録します。そして、2進法として読み取った情報をコンピュータの処理により元の波形に復元して再生します。このようなデジタル化によるデータ保存の仕組みについてはQ7で紹介します。デジタルデータは、コンピュータが処理しやすいように1(ON)と0(OFF)の2進法で数値化されているのが一般です(図表2)。 「デジタル証拠」における「証拠」の概念についても確認しておきましょう。「証拠」とは、一般的な意味としては、物事を判断するための根拠のことをいいます。さらに、裁判等の訴訟の場面においては、訴訟法上、裁判所に事実認定の心証を得させるための資料のことをいうとされています。本書では、特に裁判に限ることはせずに、物事を判断するための根拠という広い意味で「証拠」という用語を使用しています。上記で紹介したSWGDEの「デジタル証拠」の定義では、証明力(probative value)33 証拠とは何か
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