推薦のことば 21世紀に入って加速度的に発展した情報化社会は、個人や企業の活動の隅々まで浸透し、今や、個人、企業をとりまくありとあらゆる事象がインターネットを初めとする各種のIT技術と結びつき、デジタル情報として記録、蓄積されています。そして、法律が個人や企業の営みに伴って生じる各種の問題を対象としている以上、法律実務の場面においても、IT技術の十分な理解と活用なしには、法律家が、その役割を十分に果たせなくなっていることは、また必然のことといえるでしょう。 本書は、そうした社会情勢の変化に鑑み、「デジタル証拠」をキーワードとして、IT技術の発展に伴う事件の歴史から議論の動向、技術的側面、デジタル証拠の保全、収集、分析、民事訴訟実務、刑事訴訟実務、更には、デジタル・フォレンジックスやドキュメントレビューといった国内外の法律問題について、多角的に検討を試みたものです。 本書の著者は、一部を除き、いずれも第一東京弁護士会総合法律研究所IT法研究部会に所属する弁護士です。同研究所は、同弁護士会のシンクタンクとして各種法律問題の調査研究等を行っている委員会であり、IT法研究部会は、その最も新しい研究部会として平成26年4月に創設されました。本書は、このIT法研究部会の活動の最初の成果として企画、出版されたものであり、まさに、現在進展しつつある新しい法律問題に焦点を当てた意欲的な内容となっています。 本書が、法律実務家のみならず、このような新しい法律問題に直面する多くの個人や企業の一助となることを祈念し、ここに広く推薦する次第です。 平成27年8月平成27年度 第一東京弁護士会 会長 岡 正 晶iii推薦のことば
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