業契
30/72

6できません。同様のことは顧問弁護士の関与の場合にもいえることであり,依頼企業から正確な情報提供を受けずして,顧問弁護士が的確なリスク分析を行うことはできません。現場の担当者は,相手企業の経営上の不安や債務不履行の懸念を初めとする営業上のリスクを最も敏感に察知できるはずです。近時の経営環境の変化から契約締結に至る経緯等を通して,そのリスクを的確に把握することにより,自社のリスクコントロールをより万全なものとすることができるといえます。⑷ リーガルマインドの必要性リスク分析に当たって,例えば,適用法令の解釈の余地が残され,裁判例も乏しい分野である場合には,当該法令が想定する様々な価値や利益を衡量し,将来の裁判例の動向を予測するような的確な解釈を行うことが求められます。まさに法務担当者のリーガルマインドが問われる場面です。規制緩和による紛争の事後処理社会の進行は,官の事前規制による保護に企業が安住することができくなったことを意味します。もはや,官庁に問い合わせれば妥当な解決が得られる時代ではなく,自己責任,自己判断で紛争を予防しなければならない時代にあって,企業内でのインハウスロイヤー,企業外での顧問弁護士を初めとする専門家の活動の意義は否が応にも高まっています。法律家はもとより,企業法務に携わる法務担当者にとっては,日頃の研鑽はもちろん,多くの分野で紛争を経験することで,紛争処理のあり方を踏まえた事前予防策を身をもって知ることが重要です。これらに裏打ちされた契約締結交渉の経験は,法務担当者としてのリーガルマインドを益々確かなものとするでしょう。⑸ リスクに対する備え契約上およそ全ての将来リスクを回避しようとすることは,契約書をいたずらに分厚くするばかりでコストパフォーマンスに見合わないことにもなるでしょう。その意味では,将来リスクの顕在化の可能性の程度,その影響等に照らして,その大きい順にトップダウンにて契約条項策定の際リスク回避策を採る必要があるといえます。契約条項上万全の備えはじめに

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る