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8章9章権利処理手続き許諾なく名誉・利用できる場合プライバシーの保護映像の編集個人情報・秘密情報放送後の対応基礎編435【1】 刑法230条、230条の2【2】 刑法233条【3】 民法710条、723条 名誉権は、プライバシー権や肖像権などと異なり、名誉権の侵害が違法となることについて、以下のとおり法律で明確に定められています。 すなわち、まず刑法は、名誉毀損罪を定めるとともに、一方で、どのような場合であれば名誉を毀損したとしても罪に問われないのかという、「表現の自由と名誉権の調整方法」についても定めています【1】。また、刑法は、営業についての社会的評価を低下させることについては別途、信用毀損罪を定めています【2】。 民法は、名誉を侵害する行為が損害賠償の対象になることを定めるとともに、被害者の救済のため、裁判所が、加害者に対して名誉を回復するのに適切な処分をするよう命じることができると定めています【3】。 もっとも、名誉権も無制限に認められる権利ではありません。他の権利との調整のために制限されることがあります。 表現の自由は、名誉権と最も衝突の起きやすい関係にあります。そのため、表現の自由が保護されるための条件は、あらかじめ明確にしておく必要があります。そして、名誉権はプライバシーなどと異なり、仮に一旦、社会的評価が低下しても、謝罪や訂正などで事後的にある程度回復を図ることも可能です。 そこで、報じる側が一定の要件さえ満たせば、報じられる側の事情にかかわらず、必ず表現の自由の側が優先され、名誉毀損にはならないという基準が採られています。具体的には、①公共性、②公益目的、に加えて、③真実性または真実相当性のいずれか一方が立証されれば、報じた側は名誉毀損の責任を問われることはありません。民事裁判でも刑事裁判でも同様の扱いがなされています。 以下、これらの要件を見ていきましょう。10章11章12章13章14章名誉権は法律で定められた権利・利益である表現の自由と名誉権の調整

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