幾つかの説を紹介した後に,我が国の福祉行政機関の現状から最も一般的に通用している概念として次のように述べています。「査察指導とは,他の職員の職務に関して指導監督をする責任的地位にある者,またはその責任を委任された者が,その責務として直接指揮下にある個々の職員に対してその職員が責務とされた職務を遂行するよう,日常の職務を通じて援助し,かつ,指導する協力的な権限を伴う継続性を持った監督の過程である。」12)そして,査察指導は次の5つの要素から構成されると説明します。すなわち,①権限に基づいて行われること,②協力的な援助,指導過程であること,③継続性を有する管理であること,④職員の職能啓発をねらいとしたものであること,⑤組織的な人的相互関係であることです。生活保護行政を実施する上で,査察指導員の位置づけは重視されたものとなっており,前述の吉田正宣もスーパービジョンの概念と重点を次のように述べています。「その本質をなすものは,『援助』と『指導』とであり,その目指すところは,『関係職員の職務能力を向上発展せしめ,これをその職員が自らの能力として意識して日常の職務遂行のうえに反映せしめることによって,行政機関の目的とする業務を効果的に運営し,もって機関の究極の目的である要保護者に対する効果的なサーヴィスを確保せんとする』ものであるといえよう。」13)このように,査察指導員の重要な業務としてケースワーカーの能力向上のために指導することが挙げられます。また,厚生省はその指導のあり方について,ケースワーカーをいかに育成するかという視点が重要であると,『福祉事務所運営指針』では次のように述べ,査察指導員の職務に人材育成の重要性を繰り返し強調しています。「1 指導と援助が協力的に行われること査察指導は権限を伴なった指導監督の過程であるが,その基調をなすものは協力乃至は協調である。職員の持つ能力が,より有効に発揮出来るように,その知識,技術,判断力の養成に,地区担当員と一緒になって務めることであって,一方的な指示によってその改善をはかろうとするものではない。7第1章 生活保護を実施する機関/第1 福祉事務所と福祉事務所職員12) 田中『生活保護の査察指導(試論)―現業活動の手引』421頁13) 前掲注9)吉田・27頁
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