ある住民に対して不利益を与えることであり,公務員として違法行為の責任を問われるなど,重大な問題を生じかねません。生活保護行政の各種通知は法を実施するために示され, また被保護者に生じる類型的な問題に対する判断をより具体的に示したものです。したがって,法を理解することは,各種通知の理解を深めるということでもあります。2012(平成24)年にはタレントの親族に関連して,扶養問題が大きな話題となりました。この時に,生活保護における扶養の扱いについて不正確な議論が行われたばかりでなく, 扶養が生活保護法4条1項の「要件」とはされておらず, 同法4条2項の「優先」とされていることを知らないことや,「要件」 と 「優先」 の違いを理解できていない福祉事務所の職員も少なくなかったように思います。扶養が法の要件なのか優先なのか, あるいは要件と優先の違いについての理解が不十分な場合,実務上は扶養の扱いについて実施要領に沿った処理を行っているつもりでも,その意味が理解できていないわけですから,住民への説明はもとより,複雑な事案やトラブルが起きたときなど法に基づいた対応がされていない可能性があります。このように, 生活保護行政の運用に当たっては,法の理解は必要と考えられます。そこで, 第2編では生活保護行政を実施する中で生活保護法と通知をどのように理解していくのかということを,法の原理に基づいて検討をしていくこととします。貧困に陥る要因が複雑であることから, 生活保護に至る経過は様々といえます。したがって,被保護者の状況も多様であり,高齢者世帯や母子世帯等の世帯類型では被保護者の生活実態を表しているとはいえません1)。また,被保護者の状況も日々変わることがあることから,経済給付の必要性についても変動することも少なくありません。つまり,人間の生活と同様に,生活保護行政は「生きて」いるのです。生活保護行政が生きていることから, 常に惹起する問題の解決に追われ,ケースワーカーや査察指導員の負担は大きくなっています。そのような状況だ第2 生活保護法を理解する視点43第1章 なぜ原理を学ぶのか/第2 生活保護法を理解する視点
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