初版 はじめに現在の生活保護行政は様々な課題を持ち,その評価も厳しいものがあるように思われます。しかし,生活保護行政の現場状況は一般にはあまり知られていないだけでなく,生活保護決定の根拠とされる各種通知等についてもケースワーカーによっては十分に理解されていないように感じます。そこで,本書は生活保護ケースワーカー,病院・施設や地域等の生活保護の関係機関等の方を対象として生活保護行政の実態を踏まえて,その運用について検討を行うこととしました。現在の福祉事務所では経験年数の浅いケースワーカーが増えていますから,新人ケースワーカーでも理解が容易な記述としました。【生活保護行政の重層構造】生活保護行政の現場では,住民や要保護者が生活に困り途方に暮れていたときにケースワーカーの支援で問題が改善,解決する場合や,難しい支援ではあっても要保護者の生活課題が解決することでケースワーカーの達成感,仕事の充実感を得ることができる場合が日常的にあります。しかし一方で,相談に行ったのにプライバシーを根掘り葉掘り聞かれた挙句に「冷たい対応」をされたと感じる住民もいるように思われます。このように様々な形で住民と直接関わるのはケースワーカーであることから,生活保護行政はケースワーカーと要保護者の関係だけで行われているように見られることが多いと思われます。しかし,生活保護行政は生活保護法に基づいた制度運用ですから,ケースワーカーだけで生活保護行政が行われるわけではありません。公務員としてのケースワーカーは行政組織としての福祉事務所内外で行政機関との関係性を持ちます。福祉事務所内部の関係としては,所長と査察指導員,ケースワーカーの関係とともに,査察指導員とケースワーカーの関係があり,福祉事務所外部では都道府県等の本庁や厚生労働省との関係もあります。これらの重層的な関係により生活保護行政の枠組みが作られ,この枠組みの中で生活保護行政が動いているのです。つまり,行政組織間,行政内部でのv初版 はじめに
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