生ハン
8/56

立場,職責,役割の違いからくる協働と「対立」があるのです。 【実施要領,通知と『生活保護手帳』】この枠組みで生活保護行政を貫くものとしてあるものが,『生活保護手帳』に整理されている実施要領と呼ばれている各種通知類です。『生活保護手帳』は市販され福祉事務所に配備されており,ケースワーカーはそれに沿って生活保護行政を実施しますが,多くのケースワーカーにとり『生活保護手帳』を体系的に学ぶ機会はありません。新人ケースワーカーの中には『生活保護手帳』を持ち帰る人もいますが,その内容から通読して理解することは難しいと思われます。このほかにも『生活保護関係法令通知集』が毎年度発刊されていますが,『生活保護手帳』以上にその理解は難しいと思います。研修についても,ケースワーカーの日常業務の忙しさと自治体の力量から研修体制が不十分な場合もあるように思います。するとケースワーカーの仕事の習得方法は,日常業務の中での先輩からの助言,指導が中心となりますが,これは先輩からの属人的,口伝的業務習得であり,その内容は教えてくれる先輩次第ということとなります。そこで,扶助費の支給の可否や要保護者への対応を質問しても,先輩や上司により言うことが異なるという事態が生じます。まじめなケースワーカーであるほどこのストレスは大きなものとなり,結局どのように生活保護行政を学べばよいのか分からないという問題にもなります。また,このような問題はケースワーカーだけではなく,病院や施設等の関係機関職員からも,同様の事案にもかかわらず,福祉事務所やケースワーカーにより判断が異なるという指摘や,被保護者からも担当ケースワーカーが交代すると対応が異なるとの訴えも生じています。【本書の目的・特徴】筆者は大学卒業後,東京都板橋区に採用され福祉事務所に配属されました。その後32年間にわたり福祉事務所間の異動を繰り返し,ケースワーカー,査察指導員を行ってきました。その中で感じていたのは,ケースワーカーが『生活保護手帳』を学ぶ上でのvi初版 はじめに

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る