2の中で把握されていくこともあります。乳児は微笑むなど情動表出を行い,親はそれを見ながら子育てに励んだり,やがて子どもが親を認識し出すと特別な存在として捉え,笑いかけ,それを見た親がいとおしく思ったりといった親子の相互作用を通じて愛着が形成されていきます。例えば自閉症があると情動表出が乏しいことがあり,相互作用に支障を来して愛着形成に課題が出て来る場合があるとされます。子どもは1歳半になると意味のある単語を話し出しますが,2歳になっても言葉が出ないと親は心配するようになり,思い悩んでようやく病院に訪れるのは2歳半から3歳になってからのことも多くあります。それでは遅いため,上記のような課題に早期に対応するように1歳半健診が実施され,言葉の遅れやコミュニケーションの取りづらさ,遊びの偏りなどに着目した健診が行われています。子どもは3歳になると活発に話すようになり,基本的な生活習慣が身に付く時期になります。3歳児健診では言語的なコミュニケーションの発達状況や多動や集中力,こだわりなどに着目した健診が行われます。例えば自閉症であれば名前を呼んで振り向くか,物音への反応,ごっこ遊びや動作の繰り返しの様子などです。また,健診以外の場でも,保育所で落ち着きがなかったり友達とうまく遊べなかったり,あるいは会話が成り立たなかったりすると,「気になる子ども」として目立つようになり,それが障害の気付きにつながることもあります。健診では子どもの状態に応じて精密検査や保健師や医師による療育相談,グループワークを行う親子教室を紹介したり,より専門的なケアが必要な場合は療育機関につないだりしています。また,健診は健康の確認や障害の早期発見,育児相談に加え,虐待の発見の場としての役割もあります。療育では発達の状況を詳しく見ながら支援する必要があり,例えば自閉症のある子どもに対しては,愛着行動の習得や社会的な場面での振る舞い方の習得に向けた療育が実施されています。自閉症では相手からの情報を正確に受け取りにくいことがあるため,手遊び歌や絵描き歌などをしながら本人との意思疎通の手段を探っていくことが必要とされます。言葉の遅れの捉え方は複雑で,聴覚が機能しない結果,3歳になって指さしによるコミュニケー第1章 障害者福祉サービスの知識
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