16_Q社障
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3ションを通して言葉を覚えるケースもあり,様々な症状の可能性を踏まえながら療育プログラムを考えることが必要になります。しかし,健診では知的発達の遅れを伴わない発達障害の発見には限界があります。発達障害者支援法では発達障害の早期発見について国や自治体の責務が明記され(同法3条),自治体によっては5歳児健診を実施しているところも増えています。また,小学校就学前には学校保健安全法11条による就学時健診があります(就学時健診についてはQ2)。障害のあることが発見できたら,障害そのものをできるだけ軽減していくことに加え,障害がありながらどのように生きていくのか,母親や家族が孤立しないようにその将来展望を共に考えていくための家族支援が重要になります。子どもにとってはできるだけ早くに適切な療育につなげていくことが必要です。しかしながら医師から「治らない」といわれた場合,親にとっては大きな心理的動揺や葛藤をもたらすことがあり,強い自責の念に駆られる中で子どもの早期療育の必要性に加え,成長・発達の可能性すら見えなくなることがあります。その中で障害の発見が支援につながりにくい状況があるため,親に対する障害の受容への支援が必要となります(第4回障害者医療研究集会運営委員会編『障害児にとりくむ医療』(医療図書出版社・1978年)参照)。障害の受容については様々な研究がありますが,肢体障害や視覚障害など,障害の種類によって障害を受け入れていく過程は大きく異なりますし,知的障害や発達障害は子どもの集団の中で少しずつ気付いていくこともあり,必ずしも定式化できません。例えば障害をどうしても認められないという拒否,こうしておけばよかったといった過去を振り返りながらの自己否定や葛藤,そして諦めといった感情を経た上で,障害がありながらこれからをどうやって考えていくのかという受容に至るプロセスが指摘されていたりします(しかしこれにも問題があります。詳しくは田島明子『障害受容再考―「障害受容」から「障害との自由」へ』(三輪書店・2009年)を参照ください)。1 障害の気付きと幼児期の支援2 障害の気付きの支援

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