iii前著「Q&A実務家が知っておくべき社会保障―働く人,離婚する人,高齢者のために」を発刊して3年が経過したが,この度,その続編として「Q&A実務家が知っておくべき社会保障―障害のある人のために」を出版する運びとなった。「障害」は,偶発的な事情で,ある日突然,目の前に生じる。知的障害のように,生まれつきの障害もあるし,高次脳機能障害のように,病気や事故で後発的に障害が生じるときもある。豊かか貧しいかに関わりなく,行いの良しあしにも関係なく,障害は,誰にでも生じうる身近な問題である。しかし,今の日本は,障害者やその家族にとって,障壁だらけの生きにくい社会であることが否めない。様々な社会的障壁を乗り越え,自立した生活を送っていくために,多くの社会保障の制度を使いこなしていく必要がある。しかし他方で,ほとんどの社会保障の制度は,「申請主義」をとっており,自ら制度を知り,利用したいと申し出なければ,活用することができない。また社会保障は,頻繁に改正される,多くの法律や規則,省令,通達等に拠って運用されており,法律実務家であってもあまり知られていない制度が多い。さらに,障害者が社会の中で様々なトラブルに巻き込まれたとき,労働問題,借金問題,消費者被害や警察に逮捕されたときの対応など,法的に解決していかなければならない課題があるが,相談支援の専門職にとっては,法律のことはよくわからず,十分な支援ができないことも多い。そんな中で,いま抱えている「困っていること」が,どうしたら軽減できるのか,どこに相談したらいいのかについて,全く分からず,解決をあきらめてしまう当事者や家族の姿が後を絶たない。本書では,障害者支援の現場でよく相談を受ける56の事例をあげながら,福祉,医療,就労,年金,生活保護,虐待対応等の社会保障の問題,また労働問題,借金問題,成年後見,刑事事件,遺言相続,信託等の法律問題を横断的に取り上げ,わかりやすく,かつ詳細な解説を加えた。最新の情報や数はしがきは し が き
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