2解 説1 利息と遅延損害金⑴ 利息と遅延損害金の意義 利息とは,元本を利用する対価であり,元本額と期間に応じ一定の割合には原則として利息支払の合意が必要であるが(民法589条1項),合意がないときでも,商人間において金銭の消費貸借をしたときは,貸主は,法定利息を請求することができる(商法513条1項)。 遅延損害金(遅延利息)とは,履行遅滞に基づく損害賠償金(民法415条)であり,通常,利息と同様に,元本額と期間に応じ一定の割合(損害金利 その他に,利息につき法律上の定めがあるものとして,連帯債務者間の求償権(民法442条2項),委託保証人の求償権(同法459条2項,442条2項),法定解除に基づく原状回復請求権(同法545条2項),売買代金請求権(同法る不当利得返還請求権(同法704条),商人の立替金請求権(商法513条2項),賃料増減請求における不足額支払又は超過額返還請求権(借地借家法11条2 なお,複利の特約がない限り,利息や遅延損害金に対する利息や遅延損害金は発生せず,民法405条による元本組入により処理される(大判大正6 また,利息請求,遅延損害金請求は,それぞれ元本請求と法的性質が異なる別個の訴訟物であるが(司法研修所編『紛争類型別の要件事実』27頁(法曹本請求と共にする限り,全額附帯請求として訴額に算入されない(民訴費くなる。第1章 給付訴訟(利率)で支払われる(対象元本×期間×利率)。消費貸借における利息の発生率)で支払われる(対象元本×期間×損害金利率)。575条2項),受任者の費用償還請求権(同法650条1項),悪意の受益者に対す項・3項,32条2項・3項),手形金・小切手金請求権(手形法48条1項2号,小切手法44条2号)などがある(後記⑺参照)。年3月5日民録23輯411頁,大判昭和17年2月4日民集21巻107頁。ただし,不法行為に基づく損害賠償債務の遅延損害金に民法405条の適用ないことにつき,最判令和4年1月18日民集76巻1号1頁)。会,4訂,2023)),対象元本の一部が弁済等で消滅していたとしても,残元法4条1項,民訴法9条2項,裁判所職員総合研修所監修『民事実務講義案Ⅰ』41頁(司法協会,5訂版,2016))。なお,元本組入をした場合は,附帯請求ではな
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