主請(第二版)
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ⅱ 定期金賠償請求35事 例請求の趣旨解 説1 定期金賠償請求の可否2 定期金賠償の終期 交通事故の後遺障害により収入を得ることができなくなったので,加害者Yに対し,逸失利益につき定期金賠償の方法による賠償を求めます。 被告は,原告に対し,令和○年○月から令和△年△月まで,毎月○日限り,○○円を支払え。 不法行為の被害者が,将来継続的に発生・具体化する損害について定期金賠償を求めている場合,被害者が被った不利益を補填して,不法行為がなかったときの状態に回復させる目的及び損害の公平な分担を図る理念に照らして相当と認められるときは,かかる損害は定期金賠償の対象となる。定期金賠償は,後遺障害による逸失利益について認められているほか(最判令和ついては否定されるものが多い(東京地判平成23年10月4日交民集44巻5号1257頁 なお,当事者が一時金賠償を求めている場合にも,一部認容判決として,定期金による賠償を命じることができるとした裁判例がある(東京高判平成15害賠償請求権者が訴訟上一時金による賠償の支払を求める旨の申立てをしている場合に,定期金による支払を命ずる判決をすることはできないと判断した判例があるので(最判昭和62年2月6日集民150号75頁),注意が必要である。 後遺障害による逸失利益についての定期金賠償の終期は,交通事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可能期間の(札幌高判平成30年6月29日判時2420号78頁参照)2年7月9日民集74巻4号1204頁),介護費用について認められることが多い(東京高判平成25年3月14日判タ1392号203頁等)。これに対し,死亡による逸失利益に等。磯村保編『新注釈民法⑻』684頁(有斐閣,初版,2022))。年7月29日判時1838号69頁)。ただし,民事訴訟法117条創設前ではあるが,損第1 金銭請求関係訴訟

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