主請(第二版)
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第9章第1 抗告訴訟6352 抗告訴訟の対象(処分性)Ⅰ 序 章1 総 論工事実施計画認可につき,最判昭和53年12月8日民集32巻9号1617頁,輸入禁制品該当通知につき,最判昭和59年12月12日民集38巻12号1308頁,労災就学援護費の支給・不支給決第1 抗告訴訟 抗告訴訟とは,行政処分その他の行政庁の公権力の行使に関し不服を申し立てる訴訟(行訴法3条1項)である。 抗告訴訟には,以下の類型が法定されている(行訴法3条)。 ・ 取消訴訟(同条2項,3項) ・ 無効等確認訴訟(同条4項) ・ 不作為の違法確認訴訟(同条5項) ・ 義務付け訴訟(同条6項) ・ 差止訴訟(同条7項) これら以外の抗告訴訟(法定外抗告訴訟)が認められる余地はあるが,かつて法定外抗告訴訟であった義務付け訴訟,差止訴訟は現行法では法定されており,現時点で法定外抗告訴訟として考えられる訴訟類型は少ない。 抗告訴訟の対象となるのは,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行訴法3条2項・3項)であり,判例はこれを,公権力の主体たる国又は公共団体が行う行為のうち,その行為によって,直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいうと解している(最判昭和39年10月29日民集18巻8号1809頁参照)。行政処分の典型例は,許可制等における許可・不許可,許可の取消し,下命制・禁止制において個別具体的に発出される命令,給付行政における給付決定等である。 実務では,処分性の有無について,上記判例を前提に,処分根拠法令の制度趣旨を基礎として個別に判断されており,この点については,多くの判例がある(農地売払処分につき,最判昭和46年1月20日民集25巻1号1頁,鉄建公団への行政関係事件

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