第1章 部活動を取り巻く問題(わ)第3059号))。判決を受けた(大阪地判平25・9・26・LLI/DB判秘(事件番号:平成25年 上記事件の被害者の両親が大阪市に対し,損害賠償請求をした事件について,東京地裁は顧問の体罰と自殺の因果関係を認め,約7,500万円の賠償を命じる判決を出している(東京地判平28・2・24判タ1432号204頁)。指導のガイドライン」を公表した。同ガイドラインは,各学校の運動部活動において適切かつ効果的な指導が展開され,各活動が充実したものとなるよう,指導において望まれる基本的な考え方,留意点を以下のように述べている。【基本的な考え方,留意点(下線は筆者加筆)】 ① 部活動は,「生徒の自主的,自発的な参加により行われる」ものであり,「スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程と関連」して,行われる。 ② 部活動は,主として保健体育科の目標である「心と体を一体としてとらえ,健康・安全や運動についての理解と運動の合理的,計画的な実践を通して,生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育てるとともに,健康の保持増進のための実践力の育成と体力の向上を図り,明るく豊かで活力ある生活を営む態度を育てる」ことを踏まえて行う。 すなわち,部活動は,スポーツの技能等の向上のみならず,生徒の生きる力の育成,豊かな学校生活の実現に意義を有するとしているのである。 さらに, ③ 「大会等で勝つことのみを重視し過重な練習を強いることなどがないようにすること,健全な心と身体を培い,豊かな人間性を育むためのバランスのとれた運営と指導が求められ」るとし, ④ 「校長のリーダーシップのもと,教員の負担軽減の観点にも配慮しつつ,学校組織全体で運動部活動の運営や指導の目標,方針を検討, 2 文部科学省・スポーツ庁は,2013(平成25)年5月,「運動部活動での2
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