部活(改訂)
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第2編学校運動部と事故第5節 自然災害/Q16による登山と異なり,より一層安全な枠の中で行うべきことが要求され,その危険の回避についてより一層の慎重な配慮が要求されていることも肝に銘じておくべきである。特に,中学生や高校生は未だ経験も少なく,危険を未然に回避する知識も能力も備わっていないから,中学生や高校生の登山に関しては,引率又は顧問教諭に極めて高度の注意義務が課せられている。 具体的には,① 登山の際は必ず登山経験に富む者が同行する,② 登山計画立案に当たっては参加者の性別,技術,経験,体力等を十分考慮して目的地及びルートを選定し,登山地の積雪状況,気象,コースの状態,岩質,地形等を十分に調査研究・情報収集し,できるだけ現地の事前調査を行う(指導者の登山経験ある山が望ましい。),③ 常に最悪の事態を予想して食糧,燃料,装備等の万全を期する,④ 事前に健康診断を行い,医師の指示に従って参加させる,⑤ 気象庁の長期予報を参考とし,気象注意報・警報が出ている時は登山を見合わせ,もし行動中に暴風雨雪に遭遇した場合は計画を中止又は変更して体力の消耗を避け,天候回復を待つ,⑥雪崩の危険性のある場所には絶対に近づかない,⑦ 登山中は特に統制をとり,指導者は参加者の健康状態を観察し,体調や天候次第で柔軟に計画変更する余裕をもつ,⑧ 登山中は水分をこまめにとり,無理な加重や歩行はしないことが重要である。 2017(平成29)年3月に栃木のスキー場で発生した雪崩事故に関連しては,ビーコンの携行が必要だったのではと指摘されている。 ボート,カヌー,ヨット,サーフィン,遠泳等の水上競技は海や川で行われ,暴風(強風,突風),豪雨,洪水,増水,高潮,高波(横波),津波といった気象・自然現象の影響を直接的に受けるので,転覆,溺水(溺死),低水温時の転覆では心停止等の危険がある。これら水上競技は自然水面上で行われるスポーツであり,地上におけるスポーツと比して,気象等の自然条件の影響により事故が発生する可能性が高く,また何らかの事故が発97第2 水上競技における事故予防・安全対策

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