初版 はじめに 日本のスポーツにおいて,学校の運動部活動が果たしてきた役割は大きい。野球,サッカーをはじめ,多くのスポーツが明治年代,学校スポーツを通して普及していった。 日本全国の小中高校には,グラウンド,体育館,プールなどのスポーツ施設があり,生徒は日常的にスポーツに親しみ,多くのスポーツ選手を育ててきた。 現在,中学生の6割,高校生の4割が,学校運動部に所属しており,全国大会等の出場を目標として,日々,練習に励んでいる。 昭和39(1964)年に開催された東京オリンピックを契機に,競技力の向上を大義として,対外試合の規制が緩和され,全国大会等の競技会が盛んになった。 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて,ジュニア世代のアスリートの強化,メダル獲得が至上命題となり,若い選手たちが,期待の星として,メディアに取り上げられている。 反面,古くから指摘されているにもかかわらず,対外試合の過熱は,勝利至上主義となり,長時間の練習,体罰の横行などの弊害は未だ改善されていない。 最近では,部活動の問題は,「ブラック部活」と一括りにされることが多い。 部活動に携わる教師の長時間労働による健康被害,経験のないスポーツの部活指導者の就任の強制,無償もしくは低賃金の残業・休日労働等,部活動を指導する教師の問題が端緒であった。 現在は,生徒の問題,生徒や教師の家族の問題,外部指導者の問題などと,多角的・多面的な議論に広がりつつある。 少子化により,学校の中で,現在の部活動を維持することが困難な状況になっている。合同チームや外部指導者の試みはその解決策の一つであるiii初 版 は じ め に
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