取実
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第 2 株式会社の基本的な機関7く異なります。非取締役会設置会社では,株主総会が一切の事項について決議できるものとされています(会社法295条1項)。 一方,取締役会設置会社においては,株主総会において,取締役・監査役等の機関の選任・解任に関する事項,会社の基礎的変更に関する事項(定款変更,合併,分割,解散等),株主の重要な利益に関する事項(剰余金の配当,株式併合等),取締役に委ねたのでは株主の利益が害されるおそれが高いと考えられる事項(取締役の報酬等),および,定款に定めた事項について,直接決議することができます(同条2項)。ところが,近年,上場会社においては,上記会社法上の株主総会の権限外の事項であるにもかかわらず,株主総会で決議が行われることがあります。 また,株主総会においては,取締役は,①計算書類(貸借対照表,損益計算書,株主資本等変動計算書,個別注記表。会社法435条2項,会社計算規則59条1項),および,②事業報告(ⅰ現況に関する事項,ⅱ会社役員に関する事項,ⅲ株式に関する事項,ⅳ新株予約権に関する事項を含めたもの。会社法施行規則119条)を定時株主総会に提出して,承認を受けなければならないものとされていますが(会社法438条),①計算書類については,会計監査人および監査役等の監査で正確性が担保されていれば,決議は不要であり,報告することで足りるものとされています(同法439条)。⑸ 株主総会の運営 株主総会の議事運営を行う議長(会社法315条1項)については,定款で定められるのが一般的ですが,定めがない場合には,株主総会において選任されます。 議題は,招集通知に記載された事項に限られますが(同法309条5項),当該株主総会の延期または続行についての決議(同法317条),検査役の選任に関する決議(同法316条1項,2項),会計監査人の定時株主総会への出席(同法398条2項)を求める決議については行うことができます(同法309条5項ただし書)。 また,株主総会において,取締役,会計参与,監査役,執行役は,株主から特定の事項について説明を求められた場合には,当該事項について説明を

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