取実
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第10章 緊急事態への対応利益を守る立法も会社法等でなされています。しかし,株式等買取価格が適正でなければ少数株主は不利益を被り,また買取請求権が認められてもこれを行使するには相応のコストもかかるため,社外役員が,組織再編が適切に行われるように,監視していく必要があると思われます。2 M&A等の場合 内部留保の使途として,配当や自社株買い等の株主への還元か,新規事業投資かという経営計画全般との整合性を意識しつつ,M&Aを行うことが,真に企業価値の向上につながるかについては,慎重かつ高度な経営判断が求められます。社外取締役としてはこれらの経営判断のモニタリングを行うことになりますが,M&Aの密行性や適時性にも配慮しつつ,取締役会での審議の前に十分に検討するためには,M&Aのすべてのプロセスに関する十分な説明と資料を可能な限り時間の余裕をもって入手することが重要であり,説明と資料の提供について常日頃から会社(経営陣)側の理解と関係部門 なお,親子会社間や企業グループ間におけるM&Aにおいては,後述3 M&A等における社外取締役として十分検討すべき点としては以下のとおりです。⑴ 目的の合理性および手法の相当性⑵ デューデリジェンスにより抽出された問題点の検討および解消状況 M&Aそのほかの企業再編行為等を実行する際には,通常会計,税務,法務の観点から専門家によるデューデリジェンスが行われます。仮に,M&Aに当たってデューデリジェンスが行われていない場合はその理由を十分に調査し,必要があればデューデリジェンスの実施を要求する必要があります。また,デューデリジェンスが行われている場合であっても,その実施主体の専門性,適格性について把握するとともに,デューデリジェンス報告書等を閲覧し,抽出された問題点を把握し,その解消状況や契約書においてその結果が適切に反映されているか等について確認することが必要でしょう。220(事務局)の協力を要請しておくことが肝要です。「MBO,親会社,主要株主による非上場化の場合」も参考にしてください。

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