取実
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第10章 緊急事態への対応務違反はないという基準を定立したものです。⑷ 費用(コンサルタント費用を含む)の相当性 買収価格の算定に当たっては,コンサルタント等の請求金額も精査し,これらのコストも踏まえて,買収価格(比率)の相当性が検証されるべきです。⑸ 会計リスクに対する理解 近時,企業再編を巡る会計処理が極めて複雑化しています。このため,企業再編時の会計処理の誤りが後で発見されるケースが増えてきています。したがって,企業再編時の会計処理とその影響について,十分な説明を受け,検討する必要があります。 また,仮に適切なデューデリジェンスを行い,適切な企業再編時の会計処理が行われた場合でも,のれんが巨額に計上されているような場合には,将来の巨額減損の可能性がある点にも留意が必要です。この場合,当初の利益計画を十分検討することが必要なことに加え,買収後の買収会社の利益状況にも十分な注意を継続的に払っていく必要があります。3 MBO,親会社,主要株主による非上場化の場合⑴ 構造的な利益相反関係の存在 近時,経営陣が他の出資者(投資ファンド等)と組んで,自社株式を公開買付け等によって購入するMBO(マネジメント・バイ・アウト)や親子会社がいずれも上場している場合の親会社の子会社買収・非上場化,大株主による公開買付け等による上場会社の非上場化(以下,本項目では「非上場化」といいます)が増えてきています。 こうした,非上場化の意義は,市場における短期的圧力を回避した長期的思考に基づく経営の実現,「選択と集中」の実現等にあります。 他方,ここでは,株主の利益を代表すべき経営陣たる取締役,親会社,特定の大株主が少数株主から株式を取得するという構造的な利益相反関係が生じ,さらに,会社に関する正確かつ詳細な情報を有している経営陣,親会社,大株主と少数株主の情報格差にも留意する必要があります。222

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