取実
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第 1 企業買収への対応223⑵ 非上場化時に行われる,スクイーズ・アウトの概要ア スクイーズ・アウトとは スクイーズ・アウトとは,一般に,ある会社の支配株主が,対象会社の少数株主の有する株式の全部を,その少数株主の個別の承諾なく,金銭その他の財産を対価として取得することをいいます。 MBO,親会社,主要株主による非上場化の場合は,スクイーズ・アウトにより買収者以外の少数株主の株式が残らないようなスキームが実行されることが多いです。 これには,既存の少数株主の株式を買い取ってしまうことで,経営陣が少数株主の利益を棄損するが,自己ないし大株主の利益を増加させるような行動をとってしまうという問題(エージェンシー問題)を解消する,長期的な視野に立った経営を実現する,意思決定を迅速化する,各種事務コストの削減といったメリットがあります。 このため,コストをかけて,上場会社の非上場化を行うメリットを最大限享受するため,スクイーズ・アウトが行われることが多いのです。イ 2段階方式の概要 スクイーズ・アウトの方法としては,いきなりスクイーズ・アウトを実施する方法もありますが,上場企業を非上場化させる場合には,1段階目で買収者が買収対象会社の議決権保有割合を上昇させた上で,2段階目で狭義のスクイーズ・アウトを実施する方法がとられることが多いです。 この理由として,上場会社の場合,買収者以外の株主の保有割合がそれなりに高い場合が一般的であり,1段階目を実施して買収者の持株割合を高めることでスクイーズ・アウト実行の確実性を高める必要性があるためという点や,1段階目を実施することで多くの株主が買収者の提示した株価に任意に応じて株式を売却したという実績を作ることで,スクイーズ・アウト対価の公正性を担保する証拠づくりになるといった点が挙げられます。 2段階方式でスクイーズ・アウトを実施する場合の概要を図示すると次のようになります。

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