取実
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第 1 企業買収への対応④その他(①の見地から株主意思確認を尊重)ウ 社外取締役・社外監査役の留意点 2段階方式のスクイーズ・アウトを実施する場合,少数株主の利益を害するおそれが生じる問題点があるとされています。 具体的には,1段階目の取引が成立した場合は,1段階目の取引に応じなかった株主が不利に扱われるという予測から,1段階目の買付価格が公正な価格よりも低かったとしても1段階目の取引に応じてしまう(強圧性)という問題です。 また,対象会社の買収対象者側(MBOする取締役や親会社等)と買収者以外の株主との間に構造的な利益相反関係が生じるという問題点もあります。 そこで,対象会社の経営陣に対して独立性を有している社外取締役や社外監査役を中心に,利益相反状況を解消する措置がとられる必要があります。 ⑵で詳しく検討する,「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」では,MBOの場合を前提に以下のような利益相反状況の回避ないし軽減策を提言しています(同指針20頁より)。事実上の対応の整理①株主の適切な判断機会の確保〜共通して対応すべき事項〜②意思決定過程における恣意性の排除③価格の適正性を担保する客観的状況の確保上記を前提とした上での実務上の工夫◆は対応すべきか否か議論が分かれている事項○MBOに際しての公開買付けにおける買付数の下限を,高い水準に設定すること(※なお,当 該 方法 は ,公開買付けの成否を著しく225不安定にする恐れもあることから慎重に検討すべきとの指摘がある)○MBOのプロセス等について,公開買付け規制の改正・証券取引所の要請等の趣旨を踏まえた充実した開示○MBO成立のため意図的に市場株価を引き下げているとの疑義を招く可能性がある場合のより充実した説明○取締役が当該MBOに関して有する利害関係の内容についてのより充実した説明○スクイーズアウトに際して,株式買取請求権又は価格決定請求権が確保できないスキームの採用の禁止○特段の事情がない限り,公開買付けにおいて大多数の株式を取得した場合にはスクイーズアウトを実施○特段の事情がない限り,スクイーズアウトの価格について,公開買付価格と同一の価格を基準にすること◆MBO後も一定期間,対象会社の状況に関する情報提供を継続◆MBO後の中長期的な経営計画等・将来の可能性についての十分な説明○(社外役員が存在する場合には)当該役員,又は独立した第三者委員会 等に対するMBOの是非及び条件についての諮問(又はこれらの者によるMBOを行う取締役との交渉),及びその結果なされた判断の尊重 ○MBOに際しての公開買付期間を比較的長期間に設定すること(※個別案件の性質によって異なり得る)○対抗者が実際に出現した場合に,当該対抗者が対象会社との間で接触等を行うことを過度に制限する

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