取実
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上(第1原則),公正な手続を通じた株主利益への配慮(第2原則)が挙げら③価格の適正性を担保する客観的状況の確保④その他(①の見地から株主意思確認を尊重)上記を前提とした上での実務上の工夫⑶ 企業価値の向上および公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針 ⑴で述べたように,非上場化という場面においては,利益相反構造や情報の非対称性といった問題が生じます。そこで,社外役員は,非上場化が一般株主に対して十分な説明がなされているか等のモニタリングを行います。具体的には,平成19年9月4日付経済産業省の「企業価値の向上及び公正な手続確保のための経営者による企業買収(MBO)に関する指針」(以下「MBO指針」といいます)を用いた検討,説明が必要となることが非常に多いことから,MBO指針を十分理解しておく必要があるでしょう。 そして,ここでは,⑴MBOで尊重されるべき原則として,企業価値の向れ,また⑵透明性・合理性確保のための枠組みとして,①株主の適切な判断機会の確保,②意思決定過程における恣意性の排除,③価格の適正性を担保する客観的状況の確保といった点を挙げています。ア 企業価値の向上 非上場化の目的の合理性は,第一義的には企業価値を向上させるか否かです。構造的な利益相反がある非上場化では特に,その目的が真に企業価値の226*実際の案件に応じて,上記の対応を組み合わせる等して工夫する*いずれかの実務上の工夫を採用することで,MBOの透明性・合理性は高まる。但し,各工夫は排除し合うものではなく,それぞれの具体的対応を組み合わせる等して,より透明性・合理性を高めることも可能。*上記の対応を併せて行う○MBOに際しての公開買付けにおける買付数の下限を,高い水準に設定すること(※なお,当 該 方 法 は,公開買付けの成否を著しく不安定にする恐れもあることから慎重に検討すべきとの指摘がある)○取締役及び監査役全員の承認○意思決定方法に関し,弁護士・アドバイザー等による独立したアドバイスを取得すること及びその名称を明らかにすること○MBOの価格に関し,対象会 社において,独 立した第三者評価機関からの算定書等を取得②意思決定過程における恣意性の排除第10章 緊急事態への対応○(社外役員が存在する場合には)当該役員,又は独立した第三者委員会 等に対するMBOの是非及び条件についての諮問(又はこれらの者によるMBOを行う取締役との交渉),及びその結果なされた判断の尊重○MBOに際しての公開買付期間を比較的長期間に設定すること(※個別案件の性質によって異なり得る)○対抗者が実際に出現した場合に,当該対抗者が対象会社との間で接触等を行うことを過度に制限するような内容の合意等を,当該MBOの実施に際して行わないこと

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