取実
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はしがきi コーポレートガバナンス・コードが策定されて3年を迎えようとするこのほど,コーポレートガバナンスに関するネット記事を立て続けに2つ眼にしました。1つは,日本に対する海外の動向を伝えるものです。米大手投資ファンドが日本企業のコーポレートガバナンスの進展や成長を目指す姿勢が鮮明になったとの理由から,日本で5000億円規模の買収攻勢をすると伝えていました。いま1つは,コーポレートガバナンス・コードの改訂が提言されたというものです。この提言は,なお多くの企業において経営環境の変化に応じた果断な経営判断が行われていないとの指摘に基づいています。このような内外における認識のギャップをどう受けとめるべきでしょうか。我が国におけるコーポレートガバナンス改革は,着実にテイクオフしたものとして好感をもって受け容れられているものの,なお道半ばであって,より一層の浮揚さらには飛翔へと続くことが期待されていると思います。 本書で取り上げた社外取締役および社外監査役の充実が,コーポレートガバナンス改革の大きな柱であることは,改訂後のコーポレートガバナンス・コードにおいても揺るぎないところであり,改訂提言では,これらのさらなる充実をもって経営陣による果断な経営判断を促すとの方向性が,より一層明確になりました。 このように,我が国においては,コーポレートガバナンス強化の中で,社外取締役・社外監査役の存在意義が格段に高まっており,今後も,上場会社を中心に,多くの社外取締役・社外監査役が就任することが想定されます。 そこで,本書においては,株式会社のガバナンスの概要をはじめ,社外取締役・社外監査役について,その適格性や就任に際しての準備,会社への確認事項,就任後の役割,具体的実務の内容,さらには,社は し が き

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