中小M
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留意点留意点!!1)本書457頁をご参照ください。2)本書498頁をご参照ください。 ここで,X社が取り得る選択肢として,①別のベンチャーキャピタルに引き受けてもらい,単独で株式公開を目指す方針と②シナジー効果のある大手企業Y社にベンチャーキャピタル所有のX社株式だけでなくA氏,B氏の所有分も合わせて全株売却し,Y社グループの100%子会社として成長を目指す方針の2パターンが挙げられました。 諸々の議論の結果,最終的に,創業オーナーであるA氏は,現状の経営資源を勘案すると近い将来,成長が頭打ちになることが見込まれるため,単独で上場するのは実質不可能と判断し,Y社に全株譲渡する案に決定しました。 交渉の結果,譲渡価格(株価総額)は事業計画上の最終年度のEBITDA1)の8倍に決定しました。また,A氏は当初,株式譲渡後はX社の経営から一線を退く意向でしたが,A氏の手腕を見込んだY社の要請により,引き続きX社の代表として経営に関与することとなり,役員報酬はY社の副社長並みの水準まで大幅に増加となりました。なお,A氏についてのみ株式譲渡契約上,当初の対価の支払は総額の80%とし,3期後の計画が達成されることを条件として残りの20%を追加で支払うとするアーンアウト条項2)が記載されました。542 第1章 経営戦略1 経営戦略としてのM&A そもそもM&Aは企業価値を高めるための経営戦略の一環で行われるものであり,買い手・売り手のそれぞれの経営戦略に基づくものです。上記の事例では,ファンドの償還期限という別の要因があったものの,それを機会に改めて売り手のX社の経営方針を見直した結果,更なる成長のためには単独では入手困難なリソースを有する大手企業の傘下に入ることが最善の策であるとの結論に至りました。 一方で,買い手のY社は,自社では十分に活用できていないリソースをX社に活用させることで更なる収益獲得が可能となる点に大いに魅力を感じる

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