第2第1 章 「刑事司法ソーシャルワーク実践」総論第 1 編 総論 〜刑事司法・更生支援と福祉の関わり〜 刑事司法領域では,矯正施設等における処遇の終了段階で対象者を福祉サービスにつなげる社会復帰支援を出口支援と称しています。これと対比し,刑事司法制度の開始段階での,被疑者や被告人の高齢者,障害者等を福祉サービスにつなぐ支援は,入口支援と言われています。本書では,まず,刑事司法ソーシャルワークの定義を示し,入口支援における弁護士と協働する社会福祉士の刑事司法ソーシャルワークの実務について述べていきます。1 刑事司法ソーシャルワークの定義 日本社会福祉士会では,刑事司法の場での社会福祉士による活動を「リーガルソーシャルワーク」と称し,その取組について検討してきました。具体的な内容を見ると,2008年の検討実施内容では,矯正施設・少年院・更生施設等に配置されている社会福祉士等の現状と課題の整理をしています。また2010年には,地域生活定着支援センターの事例を通じて,司法と福祉の連携の実態を把握し検討しました。 さらに,これらの検討結果から,逮捕後の被疑者・被告人への社会福祉士の関与の必要性を認識し,2011年以降の研究は,入口支援の在り方を模索していく方向に転換しています。その研究では2011~2012年にかけて「被疑者・被告人の福祉的支援についてのヒアリング調査」を行い,被疑者・被告人となった高齢者・障害者等の支援に関する地域の実情を把握しています。そして2013年には,「被疑者・被告人への福祉的支援に関する弁護士・社会福祉士の連携モデル推進事業」(社会福祉事業)として,都市部における「被疑者・被告人段階の福祉的支援に関する弁護士・社会福祉士の連携モデル事業のスキーム」を検討し,その成果を報告書にまとめ発表しています。 このような調査研究と社会福祉士の実践を踏まえ,千葉県社会福祉士会司第 1 刑事司法ソーシャルワークの定義と意義
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