第 1 章 「刑事司法ソーシャルワーク実践」総論3法福祉委員会では,「刑事司法ソーシャルワーク」を刑事司法の場における福祉的支援とし,本会会員で当該研修を修了して本会の刑事司法ソーシャルワーカー名簿に登録した者を「刑事司法ソーシャルワーカー」と称していま 地域生活定着支援センター等の福祉機関として支援等を行う場合,あるいは地方検察庁の入口支援の取組等は,刑事司法ソーシャルワーカーとしての単独の動きというよりは組織としての動きであり,多少なりとも何らかの組織としての縛りがあるでしょうし,社会福祉士の資格を有しない職員も活動しています。そして,現状では刑事司法ソーシャルワーク実践はその手法が確立されているとは言い切れず,これから全国的に広がり,より専門的領域として制度を含めて整備されていく段階です。したがって,現在は,様々な取組の中で実践と理論を積み重ね,制度を構築していく萌芽期と捉えることができます。 刑事司法ソーシャルワークもソーシャルワークという限り,根本的にはソーシャルワークです。そこで,刑事司法ソーシャルワークの定義を述べる前に,ソーシャルワーク専門職のグローバル定義について確認します。ここでは,国際ソーシャルワーカー連盟の定義から,それを受けて日本ソーシャルワーカー連盟が提示した定義と注釈の実践を以下に記します(中核となる任実践の定義に基づいて活動していることとなります。【ソーシャルワーク専門職のグローバル定義】 ソーシャルワークは,社会変革と社会開発,社会的結束,及び人々のエンパワメントと解放を促進する,実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義,人権,集団的責任,および多様性尊重の諸原理は,ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論,社会科学,人文学,及び地域・民族固有の知を基盤として,ソーシャルワークは,生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう,人々やさまざまな構造に働きかける。この定義は,各国および世界の各地域で展開してもよい。す(一般社団法人千葉県社会福祉士会刑事司法ソーシャルワーカー名簿登録要領を参照)。務,原則,知については省略)。もちろん,社会福祉士はこの倫理,価値,理論,
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