第 1 編 総論 〜刑事司法・更生支援と福祉の関わり〜(矯正施設,保護観察所,更生保護施設,対象者受け入れ施設,高齢者施設,障害者施設等)の各施設内においても社会福祉士等が職員として支援に関わっています。境調整はコーディネート業務で,その後の生活について関係機関との会議にはフォローアップ業務として参加しています。そして,特別調整期間が過ぎた後は相談支援業務として本人に関わっています。言うまでもなく,これらの業務は一連の継続的支援の流れとなっています。ここで重要なのは,本人の長期的更生支援を担い,本人と一貫した長い付き合いを行うことにあります。 しかも,その地域生活定着支援センターの職員には社会福祉士等の資格を有している者が勤務しています。もちろん,この出口支援に関わる多機関こうして見ていくと,随所で社会福祉士が関わっており,司法における福祉領域としてソーシャルワークの専門職を必要とする時代となっていることを再認識させられます。 既に繰り返し述べてきたように,入口支援において刑事司法ソーシャルワーカーが弁護士と協働し対象者を福祉につなぐ実践は,少なからず蓄積されてきています。とはいえ,第1の1で定義している刑事司法ソーシャルワーカー(千葉県社会福祉士会司法福祉委員会登録者)でなくとも,弁護士と協働して,中核的役割を担い福祉的支援を行っている様々な立場の福祉関係機関の職員の関わりもあります。 例えば対象者が高齢者であれば,地域包括支援センターの社会福祉士,居宅介護支援事業所のケアマネジャー,養護老人ホーム等の生活相談員,成年後見人等も考えられます。障害者の場合は,障害者支援員,障害者相談支援センター職員からの支援もあり得ますし,この場合,対象者は自宅や施設等の帰る場所がある人が多いのかも知れません。また,地域生活定着支援センターでも相談支援業務の範疇として入口支援を行っているところもあります。 これらの福祉機関等は,本人に接見し本人の状況を把握し,更生支援計画等を作成し情状証人として出廷する等を相談業務等として行っています。これらの機関は業務として行っているため,弁護士が福祉的支援への報酬費用を負担することはありません。 しかし,刑事司法ソーシャルワーカーの場合は,その費用については出金12
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