第 1 章 「刑事司法ソーシャルワーク実践」総論132009)214~223頁元が定まっておらず,現状においては県弁護士会あるいは依頼した弁護士,対象者やその家族が費用を負担しています。そのようなこともあって,刑事司法ソーシャルワーカーは報酬費用を請求しづらいという思料も浮上します。刑事司法ソーシャルワーカーが実践による正当な対価を得ているのかは弁護士側からも疑問視されています。 そのような最中,2017年8月,日本弁護士連合会では,「罪に問われた障害者等に対する司法と福祉の連携費用に関する意見書」を,法務大臣及び日本司法支援センター理事長に提出しています。その意見の趣旨は,「罪に問われた障がい者・高齢者の国選弁護活動の中で,更生支援計画の作成等環境整備のために弁護人が支弁した適正な経費については,国選弁護に伴う費用として支払われるよう求めることです。具体的には,日本司法支援センターの国選弁護人の事務に関する契約や約款本則と別紙報酬及び費用の算定基準を改正し,福祉専門職等の接見同行費用および更生支援計画作成費用の項目を新設するなど関連機関を整備されたい。」とのことでした。 この意見書から,いわゆる費用対効果の問題を解決することを含めて,これに関する制度が早急に施行されることが望まれます。【参考文献】法務省「平成28年度版犯罪白書~再犯の現状と対策のいま~」公益社団法人日本社会福祉士会「司法分野における社会福祉士の関与の在り方に関する連携スチーム検討事業」大浦明美「ケアとしての身上監護─地域における『その人らしさ』を維持するための支援─」千葉大学大学院平成25年度博士論文2014社団法人日本社会福祉士会「新 社会福祉の共通基盤第2版(上)」(中央法規出版,内田扶喜子,谷村慎介,原田和明,水藤昌彦『罪を犯した知的障がいのある人の弁護と支援 司法と福祉の協働実践』(現代人文社,2012)長崎ケアマネ協議会『国への提言ケアマネジメント所要時間 アンケート調査より』(シルバー産業新聞,2012)1~4頁
元のページ ../index.html#35