刑実
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第第第 1 章 入口支援における刑事司法ソーシャルワークの支援プロセス161 現在,刑事司法ソーシャルワーカーは,基本的に罪を犯す高齢者や障害者を対象にしています。その軽微な罪といえば,窃盗,暴行,傷害,詐欺,器物損壊,住居侵入,恐喝,占有離脱物横領,偽造等があります。その中の窃盗には,万引き,自転車盗,自動車盗,オートバイ盗,空き巣,出店荒らし,事務所荒らし,車上ねらい,自動販売機ねらい,ひったくり等の手口があります。 被疑者・被告人の中には,軽微な犯罪を繰り返している場合も多くあります。つまり,累犯のライフサイクルとなっているように見られるのです。障害が疑われ福祉的支援が必要であるにもかかわらず,福祉に無縁で孤立した生活をしてきた人も少なくありません。そのような生活が死角となって,福祉関係機関は,その存在を確認していないことも往々にしてあると思われます。 そして,前科・前歴を見ると,本人の過去の困窮状況や生活の乱れ,精神状態等の情報を得ることが可能となります。初めて刑事司法に関わる支援者は,累犯者の人物像が具体的に明らかでない場合,被疑者が前科10犯と聞くと,「前科10犯って,どんな酷い事をしたのだろう。そんな恐ろしい人の支援はできない。実際,支援をして良いものか。また再び罪を犯すのではないだろうか。事件には関わりたくない。自分の責任になったら困る」等々,支援を躊躇してしまうかもしれません。しかし,実際に本人に接見してみると,軽微な罪を繰り返す,福祉につながりのない累犯障害者であることに気付かされる事もあり,そこで改めて積極的な介入の必要性を実感する支援者も多いと思われます。 ソーシャルワークは,人間の行動と社会システムに関する理論を利用して,人々がその環境と相互に影響し合う接点に介入すると定義されています。そ第 2 罪名と前科前歴第 3 支援のプロセス

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