第 1 章 入口支援における刑事司法ソーシャルワークの支援プロセス163す。例えば弁護人が本人を施設に入所させてほしいと提案したからといって,刑事司法ソーシャルワーカーはそれに従うということではなく,支援の見立ての根拠を説明し,本人の人権保護を考慮しつつ,福祉につなげていくという専門職としての姿勢や提案を示していただきたいです。2 情報収集・情報共有(心身の状態・生育歴・家族関係等) 本人に接見し,本人からの情報を基に家族や多機関等から情報を収集するのか,それとも先に弁護人や家族等関係者からの情報を基に情報収集をするかは,時間的タイミングの問題もあります。接見は時間も限られていますので,事案によっては,先に情報収集し,その後,平日に接見する場合も出てきます。もちろん,情報収集等は,様々な場面で行われています。 さて,必要な情報とは,例えば医療に関しては,受診記録・カルテ等の医療情報,中高校時の学校生活に関する事項の照会書類等があります。しかし,個人情報保護ということで入手できない場合もあります。また,家族や福祉関係者からの聴き取りは,本人との関係性に関するエピソードを聞き,本人像をイメージでき,新たな情報を得ることもできます。これらの情報はアセスメントや見立ての時に活用します。基本情報として,本人氏名,生年月日,住所,家族構成,現在の住所,手帳の有無,障害支援区分,介護度,経済状況,心身の状態,成年後見制度の利用の有無,福祉サービスの利用,生育歴,これまでの生活状況,家族関係を確認しフェイスシートを作成します。様々な情報を収集し,生活課題を把握することとなります。 なお,個人情報の取扱いには注意しなければなりません。3 接見・傍聴 勾留場所,あるいは拘置所で本人に接見することは,ソーシャルワークでの受理面接(インテーク),問題把握,ニーズ確定の場面に当たります。基本的には,刑事司法ソーシャルワーカーが支援することへの本人同意の確認,本人からの情報収集,ニーズの確認(初期評価)となります。もちろん,刑事司法ソーシャルワーカーはラポールの形成に重点を置き,対等な関係を意識していきます。そのようなことから当然ではありますが,個別性の尊重,傾聴,非審判的態度で対話することで接見の目的を果たすことができます。
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