第 2 編 ケーススタディ 〜項目別・事例別に学ぶ実務のポイント〜 接見の時間は30分を超えない範囲で各施設が定める時間となっています。面会は平日のみで,一般の面会者が多くて接見室が混んでいるため,ほとんどの接見は,30分未満で終了されます。接見の所用時間については,弁護士からの情報量によって違ってくるので,一概には言えませんが,実際に接見してみると,とにかく短く感じます。例えば,職種は違いますが,居宅介護事業所のケアマネジャーの相談面接の所要時間は,新規利用者の場合45分,アセスメントは105分とのアンケート結果が出ていることから考えても,接見時間は短いです。限られた時間を有効に使うため,あらかじめ質問項目を挙げておく等の事前準備が必要です。 また,本人に障害がある場合,話す速度はゆっくりで,会話の進め方や内容の選択等は,その障害特性に応じた面接技法を用います。アクリル板越しで,難聴の高齢者は聞き取りにくいことがありますので,筆談のように紙に文字を書くことや,前もって絵を描いて準備して持って行くことも良いと思われます。接見時の聴覚障害者や難聴高齢者への配慮が望まれるところです。 接見は必要によって数回行ないます。最終回の接見では,更生支援計画について同意を得ることになるのかもしれません。接見の詳細については本編3章の2で述べます。 公判では必ず傍聴しなければならないということではありませんが,刑事司法ソーシャルワーカーとして事件の捜査内容を直接検事から聴き,新たな情報があれば今後の支援に役立てます。そして,本人の身体的状態を知ることや,家族や関係機関が傍聴に来るならば信頼関係を築く意味も出てきます。4 アセスメント・見立て 刑事司法ソーシャルワークは,特に本人と環境の交互作用に着目し,そこに介入することによって様々な問題を解決しようとします。人的・物理的環境における情報は,身体機能,精神状態,社会環境に分けてファイスシート並びにアセスメントシートに記載し,その情報間の交互作用はどのような状態となっているのかを評価します。アセスメント情報が少ないと見立てることも困難,あるいは違った見立てとなる可能性もありますので,できる限り必要と思われる情報を収集します。そして,「なぜ,そのような生活になっ164
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