刑実
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第 2 編 ケーススタディ 〜項目別・事例別に学ぶ実務のポイント〜も多く,反対尋問では福祉制度に関する質問を出されるかも知れませんが,そのような時も,端的に答えることを心がけましょう。 また,最初に裁判官から証人の属性を問われた場合,そこは社会福祉士会開催の研修を修了し,刑事司法ソーシャルワーカーとして登録・実践している旨を述べます。それ以外にも,各人の資格,所属や福祉への関わり等について端的に答えます。それから,支援の経過,アセスメントの内容,更生支援計画の内容,計画の実効性,釈放後の刑事司法ソーシャルワーカーの関わり方等が質問されます。9 釈放後に福祉・医療等につなぐ 不起訴や執行猶予付き判決,罰金刑の場合,判決直後から更生支援計画に沿った支援が始まります。もちろん,この計画に関わっている福祉関係機関は,釈放されるのを待っていたのですから,予定通りの支援体制で本人を迎えることになります。福祉関係機関のみならず,医療につないでいくこともあるでしょう。例えば,家庭内暴力や家族が拒否的で他害行為もあるならば,一時的に任意入院し,その間に再アセスメントして,退院後は障害施設やグループホームに入所する計画もあり得ます。また,薬物中毒後遺症精神障害の立ち直りのリハビリを要する場合は,ダルクへ入所することもあります。 実刑になった場合,更生支援計画は実行できないため,弁護士と協働する刑事司法ソーシャルワーカーの支援は終了します。受刑期間という時間的経過により,計画されていた支援がとりあえず白紙になることはやむを得ないことです。 しかし,まだ事案数は少ないですが,更生支援計画書は裁判所の判決内容に記載されることもあります。その更生支援計画書が矯正施設に提供され,保護観察所に引き継がれ伝達されるならば,釈放時における本人の更生支援計画の下敷きとして,その資料は充分役立つと思われます。そのような事案では,服役後,再度,刑事司法ソーシャルワーカーが支援に関わる可能性はあります。168

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