刑実
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第2 章 項 目 編1第 第 2 章 項目編169事件の内容 40代の女性が,①朝,歩道上において草刈り作業をしていた高齢女性に対し,顔面や頭部等を拳骨で数回殴打する等の暴行を加え,よって,同人に加療約1週間を要する,顔面打撲,右腋下切創,左胸部切創の傷害を負わせ,②業務その他正当な理由による場合でないのに,包丁1丁を携帯していたという事案です。弁護人接見時の様子 本人が勾留された後,就任した国選弁護人が警察署で本人と初回の接見を行いました。 本人は,容疑を認めているものの,動機について「大切な緑が傷つけられていて,頭に来た」等の意味不明な発言をしていました。弁護人が,本人に,精神疾患の診断名を尋ねたところ,「拒食症,摂食障害と診断されている」と答えるのみでした。 本人は,弁護人の質問に対し,噛み合わない返答をしたり,突然,感情を高ぶらせて攻撃的な態度を取ったりすることがありました。弁護人は,本人に単なる摂食障害を超える重度の精神疾患を疑い,早期釈放に向けて,今後の方針を立てることにしました。第 1 事案の概要情報の収集「統合失調症患者による殺人未遂事件(結果 医療観察法に基づく入院)」

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