刑実
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第 2 章 項目編171 本件では,弁護人が福祉専門職に被疑者の個人情報・刑事事件の情報の提供を行うことについて,被疑者の同意書を得ることができました。ただ,この同意書を得るための説得に時間を要し,勾留10日目にようやく得ることができたという状況でした。 同意書取得後に,社会福祉士を同行して接見し,被疑者が精神科のある病院に2年ほど通院していたこと,直近3か月は通院していなかったこと,以前,同病院の医師が提案をしてくれた訪問看護を受けていたが,被疑者が嫌がって,現在は受けていないこと,現在,家族・親族からのサポートを受けていないこと,以前,処方された薬を飲まなかったことがあり,それが原因で2,3回入院したことがあること,留置施設内において薬(統合失調症用の2 家族からの聴取 家族が被疑者の生活・入通院の支援を行っている場合には,家族からの事情聴取も行います。家族の連絡先は,被疑者から聴取したり,被疑者の携帯電話に連絡先が登録されている場合には,被疑者から携帯電話の宅下げ(警携帯電話が捜査機関に差し押さえられている場合には,担当検察官若しくは警察官に同家族の連絡先を開示するよう依頼を行ったりすることによって入手します。 本件では,被疑者の話からは,家族による生活・入通院の支援があるようにうかがえなかったため,家族からの聴取は行いませんでした。 もっとも,家族が現在被疑者に関わっていなくとも,ある時点まで関わっていたということも大いにあり得ますし,本件も,家族からの聴取を試みて良い事案だったように思います。3 福祉関係諸機関からの聴取 被疑者が福祉関係諸機関からの支援を受けている場合,支援機関への事情聴取を行います。被疑者が生活保護を受けている場合には役所の生活保護課のケースワーカー,障害者手帳の交付を受けている場合には役所の障害担当課,その他福祉サービスを受けている場合には当該福祉機関に事情聴取を行もの)が処方されていること等の聴取ができました。察署で,面会者が被疑者の持ち物を受け取る手続を言います。)を受け,確認をしたり,

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