第 2 章 項目編177第スの導入が必要であることを刑事司法SWの意見として伝えました。 本件では,被疑者に病識が乏しく,また,これまで被疑者を支援してきた生活保護課,障害担当課,通院先医療機関の各意見が,今後,被疑者の在宅での支援を行うことは難しいとの意見でした。さらに,被疑者も今後の訪問看護等の福祉サービスを一切拒絶するとの考えであったため,被疑者段階での早期の更生支援計画の作成は困難な事案でした。 勾留期間中に,被疑者について,簡易鑑定が実施され,勾留満期日に,検察官から,心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下「医療観察法」といいます。)42条1項の決定を求める申立てがなされました。 鑑定入院期間中に本人と面会をしましたが,本人は,変わらず,訪問看護等の福祉サービスを一切拒絶する,母親等の家族の支援も受けたくないという意見のままでした。 審判の結果,本人については,医療観察法42条1項1号に基づく入院決定がなされました。【参考文献】注1 :岩間伸之『援助を深める事例研究の方法 ─ 対人援助のためのケースカンファレンス〔第2版〕』(2005,ミネルヴァ書房)186頁注2 :奥川幸子『身体知と言語 ─ 対人援助技術を鍛える』(2007,中央法規出版)266頁第 4 事件後の流れ
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