3 学校内の暴行傷害で、被害者代理人として、加害少年数名とその親たちを相手に損害賠償を求めて訴訟提起しようと考えています。加害少年の一人の父親Wは親権者ですが、その妻Zは再婚相手で養子縁組をしていませんでしたので、Zは被告としませんでした。当該事案において、Wを戸籍筆頭者とする戸籍謄本等の写しを証拠として訴訟に提出する際に、注意すべきことがあるでしょうか。 事案によりますが、証拠として提出する際にマスキングを行うことや、附属書類として提出する際もマスキングや閲覧制限を申し立てることを検討した方がよいでしょう。解 説 Wを戸籍筆頭者とする戸籍謄本等を甲号証として提出すると、Z及びその従前戸籍の記載から、Zが再婚相手であること及びその元配偶者の名前が、他の被告にも知られることになります(なお、この事例では、Wが民714条 1 項の監督義務者である況にある人が、戸籍謄本等の写しの証拠提出をめぐって、裁判所や原告代理人に対しクレームを申し入れた事例があります。確かに、Zの立場に立つと、共同被告らに自分のプライバシーが知られてしまったことで大きな被害を受けることが考えられます。もちろん、このような証拠提出は、正当な行為であり実務上普通に行われているとは思われますが、問題を回避するため、証拠として提出する際はマスキングを行い、附属書類として提出する場合もマスキングを行うか(当該事案ではそれしょう。 Wに対する訴訟上の立証の必要性をもって、Zのプライバシー侵害を正当化できるものか疑問の余地があり、プライバシーについての法的保護意識の高まりとともに、本問のケースのような証拠提出について配慮が求められる程度は高まっていくと思われますので、留意したいところです。§ 3 職務上請求用紙の利用キーワード 【職務上請求】【情報収集】【戸籍調査】【成年後見】 1 職務上請求は、訴訟が想定されない、単なる交渉案件でも行えますか。 2 成年被後見人が亡くなった後、法定相続人に対する財産引継ぎのため、戸籍調査が必要になります。この場合、いわゆるC用紙、D用紙を使ってもよいでしょうか。§ 2 ・§3ことを示す証拠としての戸籍謄本等の写しの提出と、未成年者の法定代理人であることを示す附属書類としての戸籍原本提出の、いずれもが必要になります)。このZのような状でも附属書類の機能を果たすはずです)、閲覧制限の申立てを検討した方がよいで
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