若弁改訂
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 第1章 情報収集と情報の取扱い その他DV加害者からの「避難」に関連する問題について→§124、§125参照。令和 4 年の民訴法改正による秘匿制度を用いて債務名義を取得する方法について→§334参照。§14 弁護士会照会を相手方に秘匿して進めることの当否キーワード 【情報収集】【弁護士会照会】  離婚調停をこれから起こす予定です。相手の預貯金や保険の存在について、相手方に開示要求をせずにいきなり弁護士会照会をしても問題ないでしょうか。 弁護士会照会を行う際に、事前に相手方に対し任意での開示を求めなければならないというルールはありません。よって、事前に相手方に任意開示請求をする必要があるかどうかは事案によると思います。例えば、任意開示の可能性が低いと考えられる場合や、事前に伝えることで財産を隠匿される可能性がある場合等には、相手方に連絡することなく弁護士会照会をすることも何ら問題ありません。§15 大企業等の組織に対して情報を求める方法キーワード 【情報収集】【労災】【証拠保全】 従業員が自死した労災事案で、内部調査の結果を照会したいのですが、組織が大きい場合、どこに照会したらよいでしょうか。 労災事案であれば、企業・団体等の人事・労務部が取り扱っている可能性が高いので、当該部署へ連絡をとり、照会先を確認することになります。もっとも、企業等が、労働者側からの照会に対して、自らに不利になり得る証拠を任意提供する可能性は低いと思われますので、別の方法として、証拠保全の申立てや労働基準監督署(以下「労基署」といいます)の調査資料の取得を検討してみましょう。 まず、証拠保全の手続をとって(→§383)、社内の防犯カメラ映像やPCログなどのデジタルデータ、またタイムカード等を証拠化することが考えられます。職場内の現場状況に意味のあるケースでは証拠保全としての現場検証が有益となることもあります。 次に、労基署内の資料として「災害調査復命書」等の復命書、是正勧告書等がある場合があり、管轄労働局に対する個人情報開示請求手続で取得できる可能性があります(多くの都道府県の労働局ウェブサイトに開示請求例が掲載されています)。もっとも、一部マスキング処理が施されていることが多いので、重要な情報が確認できない場合には、裁判手続の中で文書送付嘱託や文書提出命令の申立てを行う必要があるでしょう。16

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