31§27・§28 このほか、各種調査をしても判明しないケースであれば、氏名不詳又は「苗字某」、「通称○○」などといった記載で認知調停の申立てを行った上で、相手方の住所が分からない場合の§23同様に調査嘱託申立てを行う方法も考えられます。事前に管轄裁判所に問い合わせて、同種案件の処理や裁判所が相手方の特定として必要と考えている情報の程度を把握できればベターでしょう。§28 古い抵当権者の行方不明キーワード 【行方不明】【抵当権】【休眠担保権】【古い登記】【相続人】 かなり古い登記で、消滅していると思われる抵当権設定登記の抹消方法を教えてください。 それぞれメリット・デメリットはありますが、各種の方法が挙げられます。解 説 抵当権設定登記を抹消する場合、原則は、抵当権者やその相続人に対する弁済を行った上で、抵当権者と抵当権設定者(所有者)が共同申請することになります。 もっとも、古い登記の場合、抵当権者が死亡し、相続人が複数人に及んでいるケースが多いところ、連絡がとれない相続人がいる場合には共同申請による抵当権設定登記の抹消は困難です(抵当権設定の登記済証を入手できない場合には、抵当権者 本問では、所有者から抵当権者の相続人に対して、抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟を提起し、その中で被担保債権の消滅時効を援用することが考えられます。この方法は、相続人への送達に時間がかかってしまう可能性は高いですが、弁済が不要です(訴状が届かない相続人に対しては、公示送達によります)。このような訴訟のポイントとしては、いかにスムーズに判決をとるかが重要ですから、訴訟提起前に、相続人に対して、手紙により、訴訟を提起するに至った経緯や迷惑をかける趣旨ではないことを説明し、特段争う意思がない場合には期日への出頭や訴状への対応も不要であること等を明記しておくとよいでしょう(書き方には注意が必要です。4 4手紙の書き方全般につき→§31参照)。訴状の請求の趣旨に関して「訴訟費用を原告の負担とする」といった表記をして、被告となる相続人の抵抗感を少しでも取り除くような配慮をする場合もあるようです。 上記のほかにも、弁済等により被担保債務が消滅していることを証明できる場合には、抵当権者の所在不明の場合の除権決定(不登70Ⅰ)又は同被担保債務消滅情報の提供による場合(不登70Ⅳ前段)の方法があります。古い抵当権で弁済等の資料がない場合には、「休眠担保権」の特例(不登70Ⅳ後段)の活用余地があります。これは、①抵当権者又は抵当権設定者の所在が分からない、②被担保債権の弁済期の印鑑証明書まで必要になるため、なおさらです)。【法人】
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