②③iiiはしがき 本書は、若手弁護士から寄せられる質問や法律相談に応えてきたベテラン弁護士、そして、つい数年前は自分自身が次々と初めての仕事に直面して、様々な疑問にぶつかり、自ら調べ考えて弁護士業務に習熟してきた中堅弁護士の合作です。 私たち編著者は、若手弁護士から、よろず相談を受けるという仕事を、いわばライフワークの一つとして行ってきました。相談を受けていますと、いつしか相談のパターンというものが感じられてきます。そして、事案に直面した若手弁護士が疑問や不安を抱きがちな問題に、何を調べどう考えたらよいか、という情報や暗黙知を伝授する本があったらよいのではないかという思いが募っていました。 そこで、同じように弁護士の相談を受けている弁護士との間で情報を共有してみると、次のように 3 つの現象に気づきます。その現象が現れる典型的な理由を考えると、一応次のように整理できるのではないでしょうか。① 同じ内容の質問が繰り返し現れるベ テ ラ ン に と っ て は 当 た り 前 なことに不安を持っている回答者が調べても、あまり書籍にはっきりと書かれていない そこで、このような原因に対応して、①若手弁護士が簡単に調べにくい問題、②本を読んだだけでは不安に思う問題、そして③あまり本に書かれていない問題についてのQ&A集を書籍にしたら有益ではないか、と考えました。 幸い、他の弁護士の協力も得て「よくあるQ&A」をまとめてみると、膨大な量のQ&Aデータが集まり、その中からとりあえず、一定の一般性を有する、多くの弁護士にとって有益そうなものをピックアップして本書を執筆してみました。 執筆に着手してから気付いたことですが、個別具体的なQ&Aをある程度一般化する作業、そして、その一般性に対応した解答・解説を執筆することは想定していたよりも大変な作業でした。安全確実を重視するとありきたり現 象原因何を調べればよいのか分かりにくいから本の説明だけでは不安だからそもそも実務的な運用はあまり本に書かれていないからは し が き(本書の成り立ちと狙い)
元のページ ../index.html#5