5第1編 火災保険2Q 保険法の強行規定と任意規定とは。Q2解 説意規定と絶対的強行規定が混在している。法律の規定のうち,当事者間の合意がある場合でも変更できない条項を強行規定又は強行法規といい,合意により変更できるものを任意規定又は任意法規という。保険は保険会社と加入者との間の私的な契約にすぎず,保険業法上,保険者・保険約款には規制があるのだから,全面的に当事者間の合意によって契約内容を決められるようにしてもよいようにも思えるが,保険契約の公的性質や専門的知識に乏しい契約者保護の観点から,全ての条項を任意規定としていない。この点に,保険法の存在意義がある。強行規定(法規)には,変更を全く認めない絶対的強行規定(法規)と当事者の一方に有利な変更は認め,不利な変更を禁止する片面的強行規定(法規)がある。改正前商法の時代は,「公益ないし公の秩序のものを除いて,任意規定であると解するのが従来の判例(大判大5・11・21 民録 22 輯 2105 頁など)・通説」とされていたが(『坂口』23 頁),保険法では,より柔軟に,絶対的・任意的の区別に加えて,契約者・被保険者に有利な内容であれば条文の変更を認め,不利な内容に限って条文の変更を認めないという片面的強行法規が設けられている。保険法で,片面的強行法規が設けられたのはよいのだが,それ以外の絶対的強行規定と任意規定の区別は条文に明記されておらず,解釈に委ねられているので,整理が必要となる。村田敏一「絶対的強行規定・片面的強行規定・任意規定―新保険法の構造分析の視点―」(保険学雑誌 602 号 129 頁)を参考に,損害保険に関連する保険法の各条項について,絶対的強行法規と片面的強行法規の一覧を以下に示す。A 保険法には片面的強行規定のみ明記されており,その他の条項は,任
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