Q火災
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6第1章 火災保険の種類,定義〈表1 保険法の各条項における保険法の構造〉絶対的強行法規(解釈) 3条,5条1項,22 条,28 条4項,29 条2項,34 条,片面的強行法規(規定) 4条,5条2項,8条,9条本文,10 条,11 条,15 条,注意すべきなのは,故意免責を定める保険法 17 条が片面的強行規定とされていないため,強行法規性が解釈問題となる点である。概ね,学説・裁判例共に,保険法 17 条は任意規定と解されている結果,保険約款の規定の仕方次第で,故意免責を認めないことも,故意の主張立証責任を保険金請求者に負担させることも可能となっている。ただし,故意免責を認めない,つまり保険金詐欺であっても保険給付を行うという損害保険契約が現実的かは疑問である。以上のとおり,保険法になって多数の片面的強行法規が規定されたわけであるが,それ以外の規定は任意規定であり,保険約款によって多数の修正を受けている。そのため,保険金請求事件において保険法の出番はあまりなく,保険約款を見ていかないと要件事実もよく分からないため,保険約款の入手が必須となる。なお,本書の表記上,保険法と約款が同じ規定である場合は,約款ではなく保険法を引用することがある。前述のとおり,任意規定については,保険約款で修正を行える。もっとも「保険会社向けの総合的な監督指針」Ⅳ―1―17 は,「保険法においては,保険契約者等を保護するために保険契約者等に不利な約款内容を無効とする片面的強行規定が設けられており,当該規定を潜脱するような約款内容となっていないかどうか以下の点に留意して審査を行うこととする。」として,次の事項を挙げている。保険会社向けの総合的な監督指針Ⅳ―1―17 保険法対応保険法の各条項95 条,96 条21 条1項 ・ 3項,24 条,25 条,28 条1項~3項,29 条1項,30 条,31 条,32 条

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