第1章 火災保険の種類,定義(保険事故)が生じた個人に対して保険金を支払うという仕組みなので,個々債務が保険事故の発生を条件としていることから,この双務契約性について大々的な議論が行われていたが,「現在では,保険事故が発生すれば保険金を支払うという危険を負担することが保険者の給付であってこれが保険料と対価関係にあ」ると解されている(『アルマ』4頁)。前記 ⑥ の大数の法則は,損害保険においては,給付反対給付均等の原則及び収支相等の原則を意味する。損害保険契約は,個人単位では発生確率が小さいものの,多数人単位では一定確率で生ずるリスク(保険事故)を担保するために,損害保険会社が,多数の個人から保険料を集め,実際にリスク人の支払う保険料と保険金については次の関係が成り立つ。保険料≒保険事故の発生確率×保険金+保険者の経費+保険者の利益この公式を給付反対給付均等の原則という。なお,右辺のうち保険金部分に対応する保険料を純保険料,経費・利潤に対応する保険料を付加保険料という。ここで若干,火災保険の保険料について説明する。前述のように,保険料は,純保険料と付加保険料により構成されているが,そのなかで,純保険料については,損害保険会社各社が,損害保険料率算出機構が算出した参考純率を使用して純保険料率を算出し,付加保険料率は各社それぞれが算出している。地震保険と同様,火災保険についても建物の構造及び所在地により保険料が異なる。住宅物件については,建物の構造は,M構造,T構造及びH構造に分かれ,所在地については,台風等の水害リスクと雪害リスクに応じて保険料が異なる。12コ ラ ム大数の法則と給付反対給付均等の原則及び収支相等の原則
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