第1編 火災保険4Q 物保険と人保険の違いは。Q4これを保険会社側から見ると,保険料の総額≒保険金の支払総額+保険者の経費+保険者の利益という関係が成り立つ。この公式を収支相等の原則という。とする分類であり,物保険とは保険事故の客体が物である保険をいい,人保険とは保険事故の客体が人である保険をいう。」(『アルマ』25 頁)。火災保険は典型的な物保険である。もっとも,物保険・人保険という分類だと,賠償責任保険等が入らなくなるので,賠償責任保険を含め財産に関する契約を財産保険といい,人保険と対比することがある。損害保険・生命保険・傷害疾病保険の各定義は保険法にあるとおりであるが,どの参考書にもその分類は論理的ではないと指摘がある。損害保険契約は,「保険者が一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約するもの」をいう(保険2条6号)。つまり,保険事故による損害をてん補する保険であるのに対し(標語的には,「損害保険の本質は損害てん補生存又は死亡に関し一定の保険給付を行うことを約するもの(傷害疾病定額保険契約に該当するものを除く。)」(保険2条8号)をいうので,損害保険は保険金の支払方法の分類であり,生命保険は保険の客体に着目した分類とな(あるいは実損てん補)にあるので」等という。),生命保険契約は「保険者が人の13解 説A 「物保険と人保険は,保険事故の客体(保険事故が発生する対象)を基準
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