第1編 火災保険Q29住宅火災』58 頁)。こうした「火災」の意義については,『鈴木』57 頁以下で海上』14 頁)は,「火災」に当たらない。61解 説29Q 自宅でタバコを吸っていたところ,火種が絨毯に落ちてしまい,焦げができた。火災保険で補償される火災によって生じた損害に含まれるか。「火災」の定義が問題となるが,保険法,約款に定義規定は置かれていない。『大森』204 頁は,「社会通念上いわゆる火事とみとめられる性質と規模とをもった火力の燃焼作用をいう」と定義しているが,これでは定義として曖昧だとして,「火災とは,一定の火床なく発生した火,又は火床を離れ自力で拡大しうる火(損害火)をいう。」との解釈も有力とされている(『注釈詳細な検討がなされているが,コンセンサスがあると思われるのは,「火災」に当たるためには,火が保険の対象に燃え移る必要があることである。したがって,設問のようにタバコの火種が落ちて絨毯に焦げができただけでは,火災による損害には当たらない。同様に,「火を伴わぬ単なる焦損,発火の段階に至らない過度の醗酵や自然発熱,煤けや亀裂,燻りなどによる損害(これらの損害も火災と因果関係ある場合は勿論填補される),電気のショートに因る損害」(『鈴木』62 頁),「ストーブの熱による家具の焦げ損,暖炉中に落ちた宝石の滅損,あるいはアイロン,たばこによる畳の焦げ損」(『東海なお,過度の発酵又は自然発熱の結果,火災が生じた場合は,「火災」に該当することとなるが,こうした損害については免責規定が設けられている。例えば,火災約款3条 ⑶ ② は,次のように規定している。第2節火災,落雷又は破裂若しくは爆発A 単に絨毯が焦げただけでは,保険事故としての火災には含まれない。
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