Q火災
32/59

毯第3章 補償範囲じゆうたん等の火を伴わない焼け焦げを含まない火災約款3条 ⑶当会社は,次のいずれかに該当する損害および次のいずれかによって生じた損害(注)に対しては,保険金を支払いません。(略)② 保険の対象の自然の消耗もしくは劣化または性質による変色,変質,さび,かび,腐敗,腐食,浸食,ひび割れ,剥がれ,肌落ち,発酵もしくは自然発熱の損害その他類似の損害(注) 前条の事故が生じた場合は,① から ③ までのいずれかに該当する損害に限ります。これに対し,燃え殻がカーテンに飛び火して燃え上がったという事例であれば,「火災」に当たることになる。争いがあるのは,保険の対象が建物である場合,隣家で火事が発生し,自宅に燃え移りはしなかったが建物の外壁が焦げたり,煙で変色しただけでも,火災によって生じた損害に当たるかである。通説は,前述のとおり,火が保険の対象に燃え移ることを要するとしているので,外壁の焦げ・変色では火災によって生じた損害には当たらないはずであるが,実務上,「火災」に該当するとして保険給付が行われる場合も少なくない。なお,なにゆえ,「火災」には 絨のか,という点であるが,その根拠は,「火災」とは「火事」のことであり,社会通念上,「火事」に焼け焦げは含まないと解釈すべきだから,というだけの理由しかない。この点について,『鈴木棚田』4頁は「火災は経済主体に経済的損失を与えるかぎりにおいてのものとして理解されるべきである。そしてこの損失は,社会通念上,相当の大きさを有するものでなければならないため,単なるテーブルの焼け焦げなどによる経済的損失は,火災保険の対象とはならない。」と説明している。62

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る