第1編 火災保険Q72135会社との間で,建物及び家財一式に関する住宅総合保険(火災い,その後の警察による調査等の結果,火元は1階の仏壇付近と押し入れの中の2か所であり,焼残物から灯油に含まれる成分とガソリンに含まれる成分が検出された。Aは,自宅の戸締りは自分で毎日していたものの,自宅の鍵は普段から掛けてはいなかった。一方,今回の火災の際に物盗り等の第三者が自宅に侵入し,わざわざ灯油を撒いて放火したような形跡は見つからなかった。もっとも,Aの前妻Bは,Aに対して深い恨みを抱いており,婚姻中から自宅より様々な品物を持ち出していたことから,今回も自宅に侵入し,放火した可能性はあると私は考えている。なお,Bは,Aがかつて放火をして保険金をもらう旨の話をしていたことがあり,実際に自宅で自分や友人のいる前で大量のティッシュペーパーとマッチを入れた段ボール箱に火を付けたことがあったなどと話している。Aは,火災当時,居酒屋を経営していたが,全く売上げが上がらない状態にあり,地元の信用金庫や友人から借入れを重ねていたほか,国民年金の掛け金の支払も滞納する状態となっており,息子である私からも借入れをし,施設入所中の母親の年金まで費消する状態にあった。また,Aは,住民票上の住所を自宅ではなく,居酒屋の所在地としており,火災当時も居酒屋に寝泊まりしていた。自宅はかなり老朽化しており,固定資産評価額は約4万円,消防署による評価額も約 300 万円であったのに対し,本件火災72Q 私の亡くなった父親Aは,自己所有地上に自宅を建築し,保険保険)契約を締結していた。Aが外出中に自宅が全焼してしま第3節免責事由第1保険法に規定のある免責【故意の立証】
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