Q火災
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第1章 地震保険の種類立の指摘にも関わらず具体的に明確とはなっていない。」と判示し,結論として,「本件地震により拡大した損害は,後記認定の全損害の5割程度であると認めるのが相当である。右の割合については,事柄の性質上証拠に乏しくある程度概括的な認定とならざるを得ないが,前記の主張・立証責任の分配を踏まえて,裁判所が認定できた事実を前提に可能な範囲で認定するほかなく,これが許されないと解することはできない。」として部分免責しか認めなかった。ただし,当該判例については批判が多い。その他,土岐孝宏「判批」(金判 1536 号 56 頁)を参考に第3類型免責の事例を列挙すると,次のとおりとなる。①「両建物が延焼阻止帯もなく密着し,同火災現場が消防署からも遠いなど,およそ平時の消防体制下でも延焼を免れなかった場合」,第3類型免責は不成立②「平時の消防体制でも拡大・全焼を免れなかったという場合は」,第3類型免責が不成立③「他にも延焼に対する適当条件(例えば,消防上の過失,異常な強風の存在,建物立地における密集性等)が併存したとしても,なお地震等と延焼の相当因果関係(当然,基礎にある条件関係も)は認められ」,第3類型免責が成④「地震等以外の適当条件を総合させると,それらのほうが地震等の影響よりも優勢に延焼に寄与していた等,「通常人から見た常識的判断として」原因(地震等)と結果(延焼)の関係が肯定されないほど他の影響が大きく作用・寄与したと認められるような場合には」,第3類型免責が成立196

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