Q火災
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第2編 地震保険Q107阪神淡路大震災については複数の判例があるが,ここでは地震保険不加入に関する保険会社側の説明義務違反が争われた最三小判平 15・12・9民集57 巻 11 号 1887 頁を取り上げることにしたい。同判例の事案を判旨に従い整理すると次の通りである。① X1は本件家財を,X2は本件建物を,それぞれ所有し,又は占有していた。② 平成7年1月 17 日午前5時 46 分に阪神・淡路大震災が発生し,同日午後2時ころ,神戸市の店舗から出火し,これが延焼,拡大して,本件建物及び本件家財が全焼した。③ X1は本件家財につき,X2は本件建物につき,本件地震の発生以前に,旧東京海上との間で,それぞれ火災保険契約(以下,「本件各火災保④ X1らは,いずれも本件各火災保険契約の申込書の「地震保険は申し込みません」との記載のある地震保険不加入意思確認欄に自らの意思に基づき押印をした。⑤ 東京海上は,X1らに対し,本件各火災保険契約の締結に当たり,地震保険の内容(地震免責条項を含む。)及び地震保険不加入意思確認欄への押印をすることの意味内容に関する事項について,特段の情報提供や説明をしなかった。上記事案に付いて,最高裁判所は破棄自判し,X1らの請求を棄却した。「被上告人らは,上告人側から本件地震保険に関する事項について適切な情報提供や説明を受けなかったことにより,正確かつ十分な情報の下に地震保険に加入するか否かについての意思を決定する機会が奪われたとして,上告人に対し,これによって被上告人らが被った精神的損害のてん補としての慰謝料の支払を求めるものである。このような地震保険に加入するか否かに険契約」という。)を締結した。221コ ラ ム阪神大震災と判例

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