内縁・事実婚・同性婚の実務相談
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第 2 現代における婚姻届出を欠くカップル─概念と問題状況3第 2 現代における婚姻届出を欠くカップル─概念と問題状況など),②婚姻の届出が遅れている場合の他に,③届出をしないことに束=夫婦同氏を避けたい場合や姻族関係のしがらみから自由でありたいなど)があ係)自体には,原則として何らの法的効果も付与されませんが,その関(関係)がある程度の意味を持ってくると,婚姻に与えられる法的効果の 戦後,家族法が改正され家制度が廃止されると,家制度を前提とした婚姻障害規定も廃止され,婚姻の届出も一般国民の意識に浸透し,かつて内縁を生みだした要因は弱まりましたが,それでも婚姻届出を欠くカップルは現在でも存在しています。婚姻届出を欠くカップルには,①婚姻障害のある場合(婚姻適齢,待婚期間,重婚的内縁,近親婚に当たる内縁当事者がそれ相応の意味を認めている場合(例えば法律婚に附随する法的拘ります。 ③のように主体的・意識的に婚姻の届出を行わずに共同生活をおくるカップルの関係は,従来型の「内縁」と区別する意味で「事実婚」と呼ぶこともあります(「現代型内縁」と呼ぶ場合もあります)。③の場合には,当事者の意思をそのまま無条件に尊重すべきかはともかくとしても,これに婚姻と同じ効果を極力与えるべきだということに当然なるわけではありません。具体的な当事者の関係のあり方に即して,いかなる法的効果をどの程度与えるべきなのかということが法的問題になります。 ところで,婚姻の届出を欠く男女間の親密な関係は多種多様であり,その関係が「深い」関係から「浅い」関係までグラデーションがあります。当事者の意識や生活実態においては夫婦同然に暮らすカップルから恋人関係まで濃淡があります。婚姻の届出のない限り,男女の結合(関係がある程度強固で当事者の生活上も対第三者関係においてもこの結合うち,あるものを当該男女の結合(関係)にも与える必要が生じてくる

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